Cosmetic in Japan 美容医学への扉-東京大学美容外科-アンチエイジング
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レチノイン酸治療−最近の進歩−

百澤 明、吉村浩太郎 (2002年2月;フレグランスジャーナル)

 

1.はじめに
 レチノイン酸を皮膚疾患に対して外用剤として用いる治療は海外では広く行われている。しかし、本邦では認可されているレチノイド外用薬(レチノール、レチニールエステルを除く)はない。著者らの施設では院内で調剤したオールトランスレチノイン酸(以下atRA)外用薬を用いて1995年より7,000例をこえる症例に対してレチノイン酸治療を行ってきた。試行錯誤から始まり次第に治療法が確立されてきたわけであるが、現在でも日々改良が加えられつつある。
 本稿では著者らが現在行っているレチノイン酸治療法の現状、最近の工夫について述べる。レチノイン酸治療の詳細や他の美容治療との位置付けなどについては参考文献1-4)や治療法ホームページ(http://www.st.rim.or.jp/~ktyoshi/pigment.html)を参照されたい。

2.美容医療におけるレチノイン酸治療の適応
 美容治療におけるレチノイン酸の適応は@他の漂白剤と併用することによるシミ(老人性色素斑、肝斑、雀卵斑、炎症後色素沈着など)の治療Aニキビ治療Bskin rejuvenation(小ジワの治療)C他のresurfacing治療の前療法Dケロイドの治療である。

3.レチノイン酸の皮膚に対する作用
3-1 作用とその臨床効果
 レチノイン酸の継続的外用により、表皮においては表皮角化細胞の強い増殖促進作用、分化促進作用、角質剥離作用がみられ、それにより表皮は肥厚し角質はコンパクトになる。また、表皮角化細胞間や角質に粘液性物質(ヒアルロン酸といわれている)が沈着するようになる5、6)。短期的には表皮のresurfacing効果があり、また脂腺機能を抑え、皮脂の分泌を抑えるため、ニキビの治療に用いられる。さらに、真皮においては線維芽細胞のコラーゲン、エラスチン産生促進や一部のMMPs合成抑制などの作用があり、長期使用によって真皮が肥厚することにより、紫外線による皮膚の老化の進行を防ぎ、皮膚の張りを取り戻す7)。また、真皮乳頭層の血管新生を促し、表皮、真皮レベル双方で皮膚の創傷治癒を促進する働きを持っている(表1)。
3-2 レチノイン酸による色素沈着治療の原理
レチノイン酸は表皮角化細胞の分化促進(ターンオーバ−促進)作用と増殖促進作用という本来両立し得ない2つの作用を併せ持つ。この2つの作用が色素沈着の治療に重要であり、表皮基底層周囲に存在するメラニン顆粒の排出が促進されると考えられる。
レチノイン酸は本来、多くの外胚葉、中胚葉由来の細胞に対し、直接的に分化を誘導する作用がみられる。この作用を利用し、分化誘導療法として多くの悪性腫瘍に対して治療や治験が行われている。増殖促進作用はin vivoでは常に観察されるが、in vitroでは必ずしも認められず、その作用メカニズムは不明であったが8)、最近suprabasal keratinocyteからのHB-EGFによるパラクライン作用が示唆された9)。著者らはヒトケラチノサイト、とくに分化誘導されたケラチノサイトからレチノイン酸刺激によりHB-EGFmRNAが12時間後に10-30倍に上昇することを確認した。また、このHB-EGF発現促進作用はレチノイドの種類により大きく異なることを確認している(レチノールも40-100倍濃度でレチノイン酸と同程度の作用がある;現在投稿中)。われわれは昨年、5-10%(化粧品の約100倍)という高濃度レチノールの治験を20名の患者に行い、0.1%トレチノインと同程度のシミ治療効果を確認することができた。しかし、トレチノイン同様の皮膚炎などの副作用を伴った(投稿準備中)。
このメラニン排出効果は他のピーリング剤にはない作用で、レチノイン酸特有の治療効果である。しかし、レチノイン酸単独では新たなメラニンの供給が起こるため、ハイドロキノンなどの漂白剤(美白剤)と併用することにより、メラニンの少ない新しい表皮と置き換えられる。コウジ酸はメラニン産生抑制がハイドロキノンに比べて非常に弱く、実際には臨床効果に乏しい。
 
4.レチノイン酸外用剤の調合法
著者らの施設ではatRA(シグマ社、米国)の原末から院内調剤して用いているが、atRAは非常に不安定な物質であり、特に光と熱に非常に弱いため、毎月1回程度調合する必要があり(1ヶ月間厳重な冷暗所保存でも約1割分解する)手間がかかるが、ある程度以上の消費量があればコスト面でも非常に有利である。製剤をステンレスチューブ(遮光効果が大変良い)に密封して処方することも非常に重要である。
水性ゲル基剤での調合法の一例を表2に記した。水性ゲル製剤は水分が95%以上を占め、皮膚浸透性が極めて高いうえに、原末のコストパフォーマンスという面からは非常に経済的である。親水軟膏などを使うことも可能であるが、皮膚浸透性は数倍落ちるため、濃度をそれなりに上げる必要が生じる。

5.使用方法
5-1 シミの治療
通常は治療をbleaching phaseとhealing phaseに分ける(図1)。はじめのbleaching phaseでは、患者自身にatRAゲルおよびハイドロキノン乳酸軟膏を毎日2回患部に薄く塗布させ、昼間は日焼け止めクリームを併用させる。原則として治療開始時は顔面には0.1%、上肢および躯幹には0.2%、下肢には0.4%のatRAゲルを使用し、必要に応じて適宜濃度を変更する。AtRAはシミの部分にだけベビー綿棒でできるだけ狭く、ハイドロキノンはできるだけ広範囲に使用させる。2-3日目には発赤を生じ落屑が見られる(1週間こうした反応が見られない場合はさらに強い濃度の外用剤に変更する必要がある)。徐々に皮膚炎が進行するとともに、色素沈着は薄くなっていく。適切な保湿剤の併用が望ましいが、ステロイド剤はレチノイドの効果を抑えるため特別な場合を除き使用しない。2-6週間の治療ののち色素沈着の改善が十分得られたらhealing phaseに移行する(十分なところまで改善しない場合でも8週間でbleaching phaseは終了する)。すなわち、atRAゲルを中止して、ハイドロキノン乳酸軟膏のみの外用として皮膚炎を沈静化させる。healingの過程で炎症後色素沈着を惹起しないように注意することが重要である。部分的に色素沈着が残っている場合はatRAを中止してから(bleaching phase終了の時点から) 1-2ヶ月程度の間をおいて、2クール目を行うことができる。こうして休薬期間をおくことによって、atRAに対する治療部位の耐性が無くなり、2クール目においても適当な反応を得ることができるようになる。
老人性色素斑は顔面で角層肥厚がなければほとんどの場合満足できる結果を得られる。肝斑はやや難しく、通常2クールの治療が必要となるが、他によい方法がないため第一選択である。雀卵斑や扁平母斑は再発性があるが、よく反応する(扁平母斑の場合は顔面であれば)。また、太田母斑や遅発性太田母斑(後天性対称性真皮メラノサイトーシス)などは真皮性のメラニンが多いため、レチノイン酸治療の後にQスイッチルビーレーザーなどを行う。基底層周囲のメラニン沈着をまずレチノイン酸治療で除去しておき、後にQスイッチルビーレーザーの照射を行うと、レーザーの効果が高まるとともに炎症後色素沈着の発生を抑制することができる。
脂漏性角化症は様々な臨床像、また組織学的にも同一の疾患とは思えないほど種種の組織像を呈するが、母斑細胞性母斑とともに良性腫瘍であり炭酸ガスレーザーなどの外科的治療が必要である。
5-2 小ジワの治療 
0.1%atRAゲルを1日1回マイルドに使用していく(実際にはシミを伴うケースが多いため、前項のシミの治療を始めに行い、その後本治療に移行する場合が多い)。保湿剤の併用は不可欠である。当初、反応性の皮膚炎が見られるが使用を継続するとともに自然に消失していく。あまり皮膚炎が強い場合は使用回数を減らして調節する。反応が弱ければ、徐々に濃度をあげていく。薬理効果をあげるために、2-3ヶ月の継続使用の後、一旦中止して1ヶ月の休止期間を入れる。短期的には表皮のresurfacingであるが、長期使用により表皮、真皮ともに肥厚し、張りが出てくる。
深いしわにはコラーゲン・ヒアルロン酸などの注入療法を、笑いジワにはボツリヌス毒素治療を、タルミには形成手術をすすめる。
5-3 ニキビ治療
 0.1%atRAゲルを1日1-2回使用する。皮膚の反応を見て、使用頻度や濃度を調節することにより最大限にatRAの効果を引き出すことができる。角栓が剥がれ、徐々に皮脂の分泌が押さえられるとともにニキビは沈静化していく。AHAローション(10-15%)やビタミンCローション(5-10%)の併用は相乗効果があるため、実際の治療では通常は併用させることも多い。ミノマイシン、ビタミンB2、B6の内服、抗生剤ローションなど本邦の一般的なにきび治療を併用しても良い。水性ゲル基剤は皮膚を乾燥させ新しい角栓の形成を妨げるため、ニキビの治療には好んで用いられるが、ひび割れなど他の障害を生じることがあるため必要に応じて保湿剤の適度な併用が求められる。レチノイン酸治療は原則的に増悪期のみとするのが望ましく、通常は4-8週間の治療で新しいニキビができなくなったらレチノイン酸外用から離脱させ、それ以外の薬剤によるメンテナンスに移行させる。
5-4.他のresurfacingの前療法
 TCA、レーザー、アブレージョンなどの他の深いresurfacingを行う場合にpretreatmentとしてatRAを3日-10日程度使用する。角質を薄くしてムラをなくしておくこと、肌を刺激に慣れさせる、表皮、真皮の創傷治癒能力を事前に高めておく効果を期待する。表皮角化細胞の分裂を促進し、線維芽細胞のコラーゲン産生を促進する作用があり、使用することにより上皮化も速くなる。
5-5.ケロイドの治療
ケロイド由来線維芽細胞においてはMMP-13活性が上昇している。atRAはこのMMP-13活性を抑制するとともに、分化誘導能を持つため、ケロイド線維芽細胞の増殖抑制や周囲健常組織への浸潤に効果があると予想される(現在投稿中)。実際、臨床では周囲組織への浸潤防止効果、慢性炎症に付随する掻痒感、疼痛軽減効果が見られる。部位に応じて、適当な濃度のatRAゲルをケロイドの辺縁部位に塗布する。中心部の線維化にはケナコルト注入を併用すると良い。ケロイド切除後の再発予防にも有用な可能性が高く、著者らは現在治験中である。

6. レチノイン酸治療に用いる漂白剤
 レチノイン酸を用いたシミ治療における漂白剤併用の重要性は既述の通りである。現在、漂白剤特にチロシナーゼ活性阻害効果を有する薬物などは多くのものが存在するが、化粧品として販売されているものはどれも弱く、本治療では使えない。我々は、ハイドロキノン、コウジ酸の原末から院内調剤して用いている。現在、基剤などの違いから5種類の漂白剤を調剤し使い分けている(表3)。ハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏は油脂基剤で閉塞性保湿剤としての役割も持つが、乳酸を含むことから角質剥離効果があり最も強力な漂白効果を持つ。反面irritationを起こすことが多い。ハイドロキノン(5%)アスコルビン酸(7%)親水軟膏は角質剥離効果は持たないが、ハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏に比べるとirritationが少ない。ハイドロキノン(5%)UVクリームはクリーム基剤に紫外線散乱剤とハイドロキノンを配合したもので治療中朝メイク前に外用する。ちなみに、我々は特に問題がない限り治療期間中も、メイクは通常通り許可している。但し、油分や界面活性剤を含むものは外用薬の下には控えさせている。コウジ酸(5%)親水軟膏およびUVクリームはハイドロキノンで接触性皮膚炎を起こす患者のみ使用しているが、効果を比較すると非常に弱く(in vitroで約1/60〜1/100程度10)。)、臨床結果は大きく異なる。

7.副作用、合併症およびその対策
レチノイン酸の全身的な副作用は催奇性が有名であるが、外用剤として用いた場合の経皮吸収量はごく少量であり、米国では外用剤として用いる限り特別な注意は必要ないと結論づけている。
皮膚に対するレチノイン酸の副作用は皮膚炎であるが、これは必発である。このためステロイドの併用が従来行われていたが、著者らは使用を控え、トレチノインの塗布範囲を限定することにより対応している。これは、ステロイドによってレチノイン酸の有するメラニン排泄効果が抑制され、皮膚炎は改善するが目的である色素沈着改善効果がなくなってしまうからである。しかし、皮膚炎を起こす以上炎症後色素沈着のリスクを伴うため、これをいかに防ぐかが重要である。図らずも、炎症後色素沈着を生じてしまった場合、多くの場合漂白剤の外用のみで経過観察することで徐々に改善するが、あらためてレチノイン酸治療を行うこともできる。この場合はややマイルドにレチノイン酸の外用を行いbleaching phaseの皮膚炎を最小限にするとよい。2週間程度の治療で速やかに改善する場合が多い。
まれに、治療に用いた漂白剤の接触皮膚炎を認めることもあるが、こういった場合には、原因薬剤を中止するとともに必要であればステロイドの外用を行う。

8.レチノイン酸治療のコツと最近の改良点
Kligmanらは漂白作用があるとされるレチノイン酸、ハイドロキノン、ステロイド(dexamethasone)をそれぞれ0.1%、5%、0.1%の濃度で混合した親水軟膏の処方をそれぞれの単独使用よりも漂白効果が大きいと報告している11)。以後現在に至るまで、欧米ではこの処方をもとに多くの製品が市販されており、特に近年ではこうした製品をレーザーやケミカルピーリングと組み合わせて使用することも盛んに行われている。
 われわれのプロトコールの特徴は1)最適な濃度(実際には市販品よりもかなり高濃度)のレチノイン酸を短期間使うこと、および2)ステロイド剤とレチノイン酸の併用を避け、bleachingとhealingの2ステップに分けていることである2、4)。本治療法を用いたシミ治療のポイントは、bleaching phaseにおいて最適な量のatRAを投与することと、healing phaseにおいて炎症後色素沈着を惹起せず炎症をさましていくことである。atRAの至適量をいかに知るか?われわれはatRA外用に対する皮膚炎の程度をその目安としている。なるべく頻繁に(最低でも1回/2週)に診察し、atRA外用に対する皮膚の反応を観察する。反応が弱ければ外用回数を増やしたり、より高濃度のatRA外用へ変更したり、AHA50-70%でベビー綿棒で処置をしたりして、最適量の投与を目指す。Healing phaseにおいてはなるべく効果の強い漂白剤(美白剤)を用いることが重要であるが、ハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏はirritationが強くhealingの妨げとなることも多い。コウジ酸親水軟膏はirritationが少なく用いやすいが、漂白効果がはるかに弱く実際には炎症後色素沈着の誘発を抑えることが難しいため、ハイドロキノンがどうしても使えない患者の場合のみ使用する。ハイドロキノン軟膏も実際にいくつかの基剤でパッチテストをやってみると使えるものが見つかる場合が多い。パッチテストを積極的に行い、外用により紅斑を起こさない漂白剤を選択して、炎症後色素沈着の予防、治療を行うようにしている。また、消炎、抗酸化作用に期待してビタミンCローション、や保湿剤、サンスクリーンなどの保湿、紫外線スキンケアに工夫を凝らすことにより、皮膚炎や炎症後色素沈着のコントロール、予防を効率に行うことができる。漂白剤入りUV化粧下地クリームもこうした工夫の中から生まれたものの一つである。

9.他の治療法との併用
 美容診療においてレーザー治療、皮膚剥削術、ケミカルピーリングなどを行う際、特に我々東洋人は炎症後色素沈着を残しやすく、このため、やや深めの皮膚剥削術、ケミカルピーリング、レーザーピーリングなどは選択しにくい。しかし、レチノイン酸治療という炎症後色素沈着に対する治療法を持つことで治療の適応を広げることができる。
 また、美容診療で皮膚の若返り治療を考える際、小じわ、タルミ、シミ、老人性疣贅、ほくろなど様々な手段を用いて総合的に治療していくことが重要である。ピーリング、レーザー、液体窒素、ボツリヌス毒素、コラーゲン注入、アブレージョン、face liftなどの外科的手術など様々な治療法を常時備えておくことが、日常の皮膚治療にゆとりと幅を与え大きなアドバンテージとなり、また患者との良好な信頼関係にもつながると考えられる。

10.おわりに
われわれの施設のレチノイン酸治療も6年半を経過し、効果をさらに上げるために、また治療に伴う副作用を軽減するために、進化をしてきている。実際、肝斑の治療効果は飛躍的に上がり、患者の受け入れもよくなってきた。ただ、経験を要する部分もあるため、医師にさらに広く受けいれらるためには解決しなければいけない課題も残されている。また、より安全で効能の高い合成レチノイドの開発や治療プロトコールの更なる進化が待たれるところである。

参考文献

1) 吉村浩太郎、 "美容皮膚科学"、 メディカルコア(2000)、p29-34、61-70、100-111、132-136
2) Yoshimura K、 et al.、 Plast Reconstr Surg、 105、 1097-1108(2000)
3) 吉村浩太郎、 形成外科、 42、 801-806(1999)
4) 吉村浩太郎、"皮膚科診療プラクティス・ケミカルピーリングとコラーゲン注入のすべて"、文光堂(2001)、p83-88
5) Kligman AM、 et al. J Am Acad Dermatol、 15、 836-859(1986)
6) Kligman AM、 Leyden JJ、 Skin Pharmacol、 6(suppl1)、 78-82(1993)
7) Kang S、 Voorhees JJ、 J Am Acad Dermatol、 39、 S55-61(1998)
8)Fisher GJ、 Voorhees JJ、 FASEB J、 10、 1002-1013(1996)
9) Xiao JH、 et al.、 EMBO J、 15、 1539-1548(1999)
10) Maeda K、 Fukuda M、 J Soc Cosmet Chem、 42、 361-368(1991)
11) Kligman AM、 Willis I、 Arch Dermatol、 111、 40-48(1975)
12) Yoshimura K、et al.、J Dermatol Res、27(suppl1)、68-75(2001)

 

作用 適応(臨床効果)
表皮 角質剥離 ニキビ,薬剤浸透性,クスミ
表皮の肥厚(ケラチノ増殖促進) 色素沈着,創傷治癒,(表皮ジワ)
表皮ターンオーバー促進 色素沈着
間質内ムチン沈着(ヒアルロン酸など) 潤い,(表皮ジワ)
(メラニン産生抑制はない)(文献12)
真皮 真皮乳頭層の血管新生 創傷治癒
コラーゲン産生促進 小ジワ,張り,創傷治癒
皮脂腺機能抑制 ニキビ

表1  レチノイン酸の皮膚に対する作用

トレチノイン(atRA) 1〜4 g
カーボポール940 10 g
エマルゲン408 20 g
10%NaOH 6 ml
パラ安息香酸メチル 0.26 g
パラ安息香酸プロピル 0.14 g
精製水 ad. 1000 g


表2 トレチノイン(all-trans retinoic acid)水性ゲル 0.1-0.4% 1000gの調合法の1例

漂白剤 基剤 特徴
ハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏   プラスチベース     角質剥離作用を持ち強力な漂白剤,反面irritationを起こすことが多い.
ハイドロキノン(5%)アスコルビン酸(7%)親水軟膏    親水軟膏     角質剥離作用は持たないが,irritation少ない.
ハイドロキノン(5%)UVクリーム   クリーム    遮光効果を持ち,化粧下地剤として用いることもできる.
コウジ酸(5%)親水軟膏   親水軟膏   最も肌にやさしいが漂白剤としての効果も弱い.
コウジ酸(5%)UVクリーム   クリーム   主にメンテナンス治療に用いる.

表3  レチノイン酸治療に用いる漂白剤

 


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