Cosmetic in Japan 美容医学への扉-東京大学美容外科-アンチエイジング
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Web Master -Kotaro Yoshimura, M.D.-

 

 

レチノイン酸によるシミ治療 −対象疾患別の治療法の違い−

東京大学形成外科 百澤 明 吉村浩太郎 波利井清紀


1.はじめに
レチノイン酸を皮膚疾患に対して外用薬として用いる治療は海外では広く行われている。Kligmanら[4]のレチノイン酸,ハイドロキノン,ステロイド(dexamethasone)を用いた漂白処方の報告以後,現在に至るまで,欧米ではこの処方をもとに多くの製品が市販されており,特に近年ではこうした製品をレーザーやケミカルピーリングと組み合わせて使用することも盛んに行われている。しかし,本邦ではいまだ認可されているレチノイド外用薬(レチノールを除く)はない。著者らの施設では院内で調剤したオールトランスレチノイン酸(以下atRA)外用薬を用いて1995年より8,000例を超える症例に対してレチノイン酸治療を行ってきた。試行錯誤から始まり次第に治療プロトコールが確立されてきたわけであるが,現在も改良が加えられつつある。本稿では著者らが現在行っている最新のレチノイン酸治療法,工夫について述べる。

2.レチノイン酸治療の概要
2-1. レチノイン酸による色素沈着治療の原理  レチノイン酸は表皮においては表皮角化細胞の分化促進(ターンオーバ−促進)作用[2, 3]と増殖促進作用[7, 8, 12]という本来両立し得ない2つの作用を併せ持つ。この2つの作用が色素沈着の治療に重要で,表皮基底層周囲に存在するメラニン顆粒の排出が促されると考えられる[11, 12]。このメラニン排出効果は他のピーリング剤にはない作用で,レチノイン酸特有の治療効果である。しかし,レチノイン酸単独では新たなメラニンの供給が起こるためハイドロキノンなどの漂白剤(美白剤)と併用することにより,メラニンの少ない新しい表皮と置換されると考えられる[9-12]。
2-2. レチノイン酸外用剤の調合
 表1に著者らの施設でのレチノイン酸外用剤のレシピ例を示した。当施設ではatRA(シグマ社,米国)の原末から院内調剤して用いているが,atRAは非常に不安定な物質であり,特に光と熱に非常に弱いため,毎月1回程度調合する必要があり(1ヶ月間厳重な冷暗所保存でも約1割分解する)手間がかかるが,ある程度以上の消費量があれば自家調合の方がコスト面でも有利である。製剤をステンレスチューブ(遮光効果が大変良い)に密封して処方することも重要である。著者らの施設では水性ゲル基剤で調合し用いている。水性ゲル製剤は水分が95%以上を占め,脂溶性のatRAの皮膚浸透性が極めて高くなる。親水軟膏などを使うことも可能ではあるが,皮膚浸透性は数倍落ちるため,濃度をそれなりに上げる必要が生じる。

3. 使用方法
≪標準プロトコール≫
標準プロトコールを図1に示した。一般的な使用方法については他の参考文献[9-11]を参照していただきたい。本稿では主に対象疾患別の使い方の違いについて述べたい。
3-1 シミ(色素疾患)の治療
 日常の美容診療において患者が"シミ"といって来院する色素疾患には様々なものが存在する。初診時の正確な診断が要求されるのは言うまでもないが,治療方針決定について特に重要な鑑別点は@メラニン沈着の深さ(basal melanosis主体か,dermal melanosis主体か,その混合型か、シミの色調により判断する),A角質肥厚の程度,B母斑細胞の有無,C炎症の有無、D辺縁の形態などである。また,日光角化症やボーエン病などの悪性皮膚疾患の除外が必要なことは言うまでもない。われわれが行っているシミの治療法を決定するアルゴリズムを図2に示した。全ての色素疾患がこれに当てはまるわけではないが,参考にしていただきたい。
3-1-1老人性色素斑(日光黒子),脂漏性角化症(老人性疣贅)
 老人性色素斑および脂漏性角化症は日常最もよく遭遇する"シミ"である。老人性色素斑はレチノイン酸治療が奏功し,顔面であればほぼ満足のいく結果を提供できると言える。肉眼的に角質肥厚がまったくない場合は上記の標準プロトコールによるatRA単独の治療で十分なことが多い。皮紋がないまたは乱れている、輪郭が明瞭である、などわずかな角質肥厚が疑われる老人性色素斑の場合は,まずはじめにQ-switchedルビーレーザーを照射し,4週間後より炎症後色素沈着に対してレチノイン酸治療を行うとよりスムーズな治療ができる。この場合,上皮化までの間(1週間ほど)は抗生剤軟膏を,レーザー2週後よりハイドロキノン軟膏を外用し,治療後4週間で炎症後色素沈着を認める場合はマイルドなレチノイン酸治療を行うようにしている(詳細は後述)
 角質があきらかな隆起性である脂漏性角化症の場合は炭酸ガスレーザーなどにより剥削治療を行う。隆起病変部のみを丁寧に切除し、過度の剥削を避けることが炎症後色素沈着を回避するコツである。従来より液体窒素を用いた冷凍凝固による老人性色素斑や脂漏性角化症の治療が行われてきたが,組織を冷凍凝固する程度の加減が難しいため複数回の治療を余儀なくされること,また熱拡散による過度の組織障害のため炎症後色素沈着を起こしやすいことなどから,炭酸ガスレーザーによる治療に明らかに劣ると考える。
3-1-2雀卵斑
 来院する患者はたいてい米粒大ぐらいまでの細かい色素沈着すべてを"ソバカス"と呼ぶが,本来皮膚科学でいう雀卵斑は先天性の遺伝要素の強いものをいう。中年以降生ずるものは老人性色素斑の小班型であることが多い。色素斑の分布などによりこれらを鑑別する。なぜなら,本来の雀卵斑は再発性が強く一旦満足のいく結果を得たかに見えても扁平母斑同様に維持療法を怠ると,数ヶ月後には再発することが多いからである。
 雀卵斑の場合は色素斑が細かく散在するため、atRAゲルをベビー綿棒やつまようじを用いて丁寧に外用することが最も重要である。レチノイン酸治療終了後の維持療法は遮光とともにハイドロキノン軟膏の外用を継続して行う。
3-1-3肝斑
肝斑はレーザーやケミカルピーリングによる治療成績が不良であるため,炎症後色素沈着同様、レチノイン酸治療が最も適していると考えている。初診時には他の色素疾患の混在が無いか注意深く観察する。Dermal melanosisを伴うものもしばしば見かける。また、遅発性太田母斑との鑑別も重要である。
治療は標準プロトコールをややマイルドに行う。bleaching phaseをやや長め(6-8週間)に行い,1ヶ月のインターバルの後2 クール目を行うことが多い。再発性もあるためハイドロキノン軟膏などによる維持療法が重要である。ビタミンC, Eやトラネキサム酸などの内服を併用してもよい。肝斑は紫外線によってその色素沈着が増強することが知られているが,特に夏場は発汗により紫外線ケアが悪くなるため一層の紫外線対策を要する(図4)。
3-1-4炎症後色素沈着
東洋人は欧米人に比べて炎症後色素沈着をきたしやすい人種である。炎症後色素沈着は,2-6ヶ月で軽快することが多いとされるが,ときに長期にわたり遷延する。また、美容皮膚治療において炎症後色素沈着の自然寛解を待つ期間は患者にとっては大きな苦痛の期間であり,可能であれば積極的な治療が望ましい。炎症後色素沈着は四肢や躯幹であってもレチノイン酸治療が奏功することが多く,本治療を持つことにより炎症を伴う美容皮膚治療により積極的に取り組むことができるようになる。
非常にマイルドにbleaching phaseを行う。漂白剤は、紅斑を極力避けるため,AHAを入れないものが良い。0.1%atRAを一日1-2回の外用で開始するが紅斑を認めたら,外用回数を減らすなどして,それ以上紅斑があまり増強しないように注意する。色素沈着が消失したら直ちにatRA外用を中止しhealing phaseに移行する。漂白剤のパッチテストを行ってから治療を開始するのが望ましい(図5)。
3-1-5扁平母斑(カフェオレ斑)
扁平母斑は日常しばしば見かけるいわゆる"茶あざ"であるが,美容皮膚治療においては患者は"シミ"といって来院することも多い。ルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーによる治療が一般的であるが,治療後に再発するケースが多く,またレーザー治療部位が脱色素斑になることもあり,治療成績が安定しないのが現状である。レチノイン酸治療においても,再発性や体幹下肢に対する有効性などの点で治療の難しい色素疾患の一つであるが,顔面であればレチノイン酸治療が奏功することが多く,瘢痕や脱色素斑をなどを伴わないためレーザー治療にない利点がある。
治療は標準プロトコールを強めに行う。レチノイン酸治療後の再発率を下げる工夫として,やや長めにbleaching phaseを行うとよい。つまり,扁平母斑の場合には肉眼的な色素の消退ののち2-3 週間ほどbleaching phaseを続けて,充分な時間をかけて治療を行う。Bleaching phaseの後半atRAに対する耐性獲得のため皮膚の反応が得られなくなってくるが,atRAゲルの重ね塗りやpH4程度のAHAローションを併用するなどして皮膚の反応維持に努める。また,治療後の維持療法はきわめて重要で、ハイドロキノン軟膏の外用を継続し、定期的に経過観察を行う。
3-1-6遅発性太田母斑(遅発性両側性太田母斑様色素斑、遅発性両側性真皮メラノーシス)
 遅発性太田母斑は1984年Hori[1]らにより報告されたdermal melanocytosisを主とした色素疾患である。先天性のいわゆる太田母斑と組織学的に類似するにもかかわらず,Q-switchedレーザー照射により炎症後色素沈着の発生頻度が高く治療に難渋することで知られている[6]。肝斑と誤診されていることも多い。肝斑との鑑別のポイントは、@融合傾向のない小色素斑であること(肝斑はぺっとりとした色素斑で局面を呈する)、A色素斑の辺縁がぼやけている、B色調が肝斑に比べ灰色、黒色を帯びている(真皮メラノーシスが混在するため)、などであり、慣れれば鑑別は比較的容易である。
本疾患のbasal melanosisについて詳しく記述された報告は見当たらないが,著者らはdermal melanosisに加えて比較的高度なbasal melanosisが混在することがこの疾患のレーザー抵抗性の原因の一つであるのではないかと考え、まずステップ1としてレチノイン酸治療を行ってbasal melanosisを除去した後,ステップ2としてQ-switchedレーザーを照射する。以後ステップ1,2を必要に応じて繰り返すことで,レーザーの照射効率を上げ,同時に遅発性太田母斑に特徴的な強い炎症後色素沈着を軽減させることができ,良好な結果を得ている (図6)。さらに、われわれの治療仮説について組織学的にも確認した(投稿準備中)。

4. レチノイン酸治療に用いる漂白剤
レチノイン酸によるシミ治療には漂白剤が不可欠である。現在,メラニン産生抑制効果を有するとされている成分は数多いが,化粧品として認可されて販売されているものはどれも効果が弱く,本治療で使うことができない。著者らはハイドロキノンやコウジ酸の原末から院内調剤して用いているが、基剤の違いなどから5種類の漂白剤を調剤し使い分けている。表2にそれぞれの漂白剤の特徴を示した。基剤の違いによってもirritationの発生にかなりの差があることから,最近では治療開始前にこれらの漂白剤のパッチテストを行い,アレルギー性接触皮膚炎の有無と刺激性皮膚炎の程度を確認して使用する漂白剤を決定している。我々が用いているハイドロキノン(5%)乳酸(7%)プラスチベースは油脂基剤で閉塞性保湿剤としての役割も持つが,乳酸を含むことから角質剥離効果があり最も強力な漂白効果を持つ。反面irritationを起こすことが多い。ハイドロキノン(5%)アスコルビン酸(7%)親水軟膏は角質剥離効果は持たないがirritationが少ない。ハイドロキノン(5%)UVクリームはクリーム基剤に紫外線散乱剤とハイドロキノンを配合したもので朝の外用時に使用させている。ちなみに,メイクは治療期間中も通常通り許可している。但し,油分や界面活性剤を含むものは外用薬の下には控えさせている。コウジ酸(5%)親水軟膏およびUVクリームはハイドロキノンでアレルギー性接触皮膚炎を起こす患者のみ使用しているが,効果を比較すると非常に弱く(in vitroで約1/60〜1/100程度[5]。),我々の経験でも実際臨床結果は大きく異なる。

5.副作用,合併症およびその対策
レチノイン酸の全身的な副作用としては催奇性がよく知られているが,外用剤として用いた場合の経皮吸収量はごく少量であり,米国では外用剤として用いる限り特別な注意は必要ないと結論づけている。従って,実際に問題となるのは刺激性皮膚炎である。これは必発であり,このため従来ステロイド外用剤の併用が好んで行われていたが,著者らはステロイド外用剤を併用せず,トレチノインの塗布範囲を治療部位に限定することにより対応している。これは,ステロイドによってレチノイン酸の有するメラニン排泄効果が抑制され,皮膚炎は改善するが目的である色素沈着改善効果が弱まってしまうとともに,炎症後色素沈着を残しやすくなるためである。ごくまれに,漂白剤によるアレルギー性接触皮膚炎を認めることもあるが,その場合には,原因薬剤を中止するとともに必要であればステロイド軟膏の外用を短期間行う。

6.レチノイン酸治療のコツと最近の改良点
本法を用いたシミ治療のポイントは、@最適な濃度(実際には市販品よりもかなり高濃度)のレチノイン酸を短期間使うこと(原則的には8週間以上連続使用しない),Aステロイド剤を使用しないこと,Bレチノイン酸とハイドロキノンを別々に用意して使用する範囲を変えること、また色素沈着改善後にはハイドロキノンだけを最低4週間使用すること、C臨床診断を的確に行うこと、D臨床診断に応じて最適なトレチノイン治療を行うこと、E最大限の効果を得るためレーザー治療とうまく併用すること、F使用薬剤の作用機序を十分理解すること、G治療に伴う刺激性皮膚炎を軽減するための工夫や適切な指導を行うこと、などである[10]。
トレチノイン治療のプロトコールは1つではなく,それぞれの臨床診断に応じて最適な治療法,つまりトレチノイン治療をマイルドに行ったり,強めに行ったり,またレーザーと併用したりなど,柔軟に行うことが必要である。また,atRAの反応性には個人差が大きいため,いかに最適量を投与するかも重要なポイントである。なるべく頻繁に(2週間に1回以上)診察し,atRAによって生ずる紅斑や落屑の程度を観察する。この際,反応が弱いか強すぎるか臨床診断を加味して判断する。AtRAに対する反応が強ければatRAの投与量を減量するか外用間隔をあけるようにし,弱ければ外用量を増加するかatRAゲルの濃度を上げて対応する。このとき,使用期間に応じて獲得されていくatRAの耐性に注意する。例えば、0.1%のatRAを2週間外用しても十分な反応が起こらない患者の場合,次に0.2%に濃度を上げてもすでに生じた耐性により十分な反応が得られないことが多く,一気に0.4%に濃度を上げておく必要がある。これでも,反応が弱い場合はAHA(50-70%;pH1-1.5程度;2-3分)をベビー綿棒を用いて処置をしたりして,適度な反応を目指す。Healing phaseにおいての漂白剤(美白剤)の役割は炎症後色素沈着を防ぐことである。そのため、トレチノイン中止後最低4週間は漂白剤の使用を続ける必要がある。最近著者らは治療開始前に可能な限りパッチテストを行い,適切な漂白剤を選択してするようにしている。また,消炎・抗酸化作用に期待してビタミンCローション,さらに保湿剤,サンスクリーンなどの保湿,紫外線スキンケアに工夫を凝らすことにより,皮膚炎や炎症後色素沈着のコントロール,予防を効率的に行うことができる。漂白剤入りUV化粧下地クリームもこうした工夫の中から生まれたものの一つである。

7.おわりに
われわれの施設のレチノイン酸治療も7年を経過し,効果をさらに上げるために,また治療に伴う副作用を軽減するために,進化してきており、より洗練された治療が可能になった。本治療が普及するためには、こうした細かいノウハウが周知されることが必要であると思われる。また,atRAに代わり得る、より安全で効能の高い合成レチノイドの開発が待たれるところである。

参考文献
1) Hori Y, Kawashima M, Oohara K, et al: Acquired, bilateral nevus of Ota-like macules. J Am Acad Dermatol 10:961-964, 1984
2) Kligman AM, Grove GL, Hirose R, et al: Topical tretinoin for photoaged skin. J Am Acad Dermatol 15:836-859, 1986
3) Kligman AM, Leyden JJ: Treatment of photoaged skin with topical tretinoin. Skin Pharmacol 6:78-82, 1993
4) Kligman AM, Willis I: A new formula for depigmenting human skin. Arch Dermatol 111:40-48, 1975
5) Maeda K, Fukuda M: In vitro effectiveness of several whitening cosmetic components in human melanocytes. J Soc Cosmetic Chem 42:361, 1991
6) Polnikorn N, Tanrattanakorn S, Goldberg DJ: Treatment of Hori's nevus with the Q-switched Nd:YAG laser. Dermatol Surg 26:477-480, 2000
7) Stoll SW, Elder JT: Retinoid regulation of heparin-binding EGF-like growth factor gene expression in human keratinocytes and skin. Exp Dermatol 7:391-397, 1998
8) Xiao JH, Feng X, Di W, et al: Identification of heparin-binding EGF-like growth factor as a target in intercellular regulation of epidermal basal cell growth by suprabasal retinoic acid receptors. EMBO Journal 18:1539-1548, 1999
9) 吉村浩太郎: レチノイン酸を用いたfacial rejuvenation 治療に必要な外用剤;スキンケア. 形成外科 42:801-806, 1999
10) Yoshimura K, Harii K, Aoyama T, et al: Experience with a strong bleaching treatment for skin hyperpigmentation in Orientals. Plast Reconstr Surg 105:1097-1108, 2000
11) Yoshimura K, Tsukamoto K, Okazaki M, et al: Effects of all-trans retinoic acid on melanogenesis in pigmented skin equivalents and monolayer culture of melanocytes. J Dermatol Sci 27:S68-75, 2001
12) Yoshimura K, Uchida G, Okazaki M, et al: Differential expression of heparin-binding EGF-like growth factor (HB-EGF) mRNA in normal human keratinocytes induced by a variety of natural and synthetic retinoids. Exp Dermatol, in press:

表1 トレチノイン(all-trans retinoic acid)水性ゲルの調合法の一例

表2 レチノイン酸治療に用いる漂白剤
    基剤の違いなどから5種類の漂白剤を使い分けている。それぞれの特徴を示す。

 

 

 

 
 

図1 治療プロトコール
  治療はbleaching phaseとhealing phaseに分ける。必要に応じて維持療法期間の後、bleaching, healing phaseを繰り返す。

 

 

   
   

 

 

 


 

 

図2 "シミ"治療のアルゴリズム
  角質肥厚の有無、真皮メラニンの有無などが特に重要である。

(a) (b)

図3  症例1 66歳女性 老人性色素斑
 (a) 治療前 (b) 治療開始後2ヶ月
0.1%atRAゲルを4週間,その後濃度を0.4%に変更しさらに2週間外用した後,healing phase に移行した。治療開始後2ヶ月,色素斑はやや残存するが著明に改善している。

(a) (b)

図4 症例2 38歳女性 肝斑
(a) 治療前 (b) 治療開始後6ヶ月
bleaching phaseはややマイルドに長め(8週間),healing phase にはハイドロキノンアスコルビン酸親水軟膏を用いた。1ヶ月の休薬期間をおき2クールのレチノイン酸治療を行った。

(a) (b)

図5 症例3 53歳女性 (外傷性)炎症後色素沈着
(a) 治療前 (b) 治療開始後2ヶ月
bleaching phaseはマイルドに行った。色素沈着は著明に改善した。

(a) (b)

図6 症例4 39歳女性 後天性両側性太田母斑様色素斑
(a) 治療前 (b) 治療開始後1年
まず,レチノイン酸治療を2ヶ月かけて行い基底層周囲メラニンを除去した後,Q-switchedルビーレーザーを計4回照射した。炎症後色素沈着をきたすことなく治療し得た。

 


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