Cosmetic Medicine in Japan -東京大学美容外科- トレチノイン(レチノイン酸)療法、アンチエイジング(若返り)
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抗アンドロゲン治療

吉村浩太郎


 抗アンドロゲン治療は、一般的には過剰なアンドロゲンによる症状を寛解させるために、もしくはアンドロゲンが症状を増悪させることが予想される場合に行われますが、それ以外の目的で使用されることもあります。例えば、性同一性障害におけるmale to female治療などです。
 抗アンドロゲン治療というのは、通常は男性において前立腺癌や前立腺肥大症などに使用されます。まれに子宮癌や乳癌に使用されるものもあります。適応範囲を広げると、男性の禿頭、女性のニキビや多毛症、さらに無月経などの婦人科疾患にも可能性があります。もちろん、ホルモンの作用を制御することになりますので、治療による副作用にも留意しなければいけません。女性に投与する場合は避妊をさせる必要があります、もしくは経口避妊薬を併用させたり、治療自体で避妊状態に誘導する場合もあります。治療の種類によっては、経口避妊薬との併用により相乗効果が見られることもあります。
 抗アンドロゲン治療薬には以下のようにいろいろな作用機序のものが存在します。効果はある程度あることがわかっていても、作用機序の全容はわからない薬剤も多く見られます。
@ステロイド類による受容体阻害
 これは受容体を競合的に阻害します。アンドロゲンは最終的には標的細胞内の核内受容体に作用しますが、それを受容体結合のレベルで阻害しようと試みるものです。従って、アンドロゲン受容体に強い親和性を持つ薬剤になります。特に副腎性のアンドロゲンに有効です。Spironolactoneやcyproterone acetateなどがあります。ほとんどは本来は別の目的で開発された薬剤です。Megestrolもアンドロゲン受容体阻害、生殖腺での合成抑制作用があることが知られています。
spironolacton:一般的には高血圧、浮腫などに使われる利尿剤ですが、アンドロゲン受容体での拮抗作用があることが知られています。本来は抗アルドステロン剤として開発されましたが、他のステロイドホルモン受容体とも結合して阻害するようです。DHTの67%の親和性ともいわれています。作用は弱いですが、卵巣、副腎の男性ホルモン産生抑制(チトクロームP-450減少)や5α-reductaseの活性抑制についても言われています。血中のandrostendioneは減少がみられるようですが、DHEAやDHEASはあまり低下しないようです。抗プロゲステロン、抗エストロゲン作用も若干あるかもしれません。高K血症の恐れから腎機能不全患者には禁忌です。
cyproterone acetate:アンドロゲン受容体において競合的に阻害します。これは合成プロゲステロン製剤で、下垂体からのゴナドトロピン分泌抑制作用があるため、卵巣のアンドロゲン産生を抑制するようです。エストロゲンを併用すれば、さらにゴナドトロピン分泌を抑えますし、血中SHBGも増加するため相乗作用が期待できます。海外では広く使用されていますが、日本ではやはり前立腺癌などに使用されていましたが、肝癌の発生が報告され、1999年販売中止になったようです。女性には月経5日目より14日目まで使用し、エストロゲンは5日目より25日目まで併用するのが多いようです。月経開始日より10日間の投与も多いようです。
A非ステロイド類による受容体阻害
flutamideが良く知られています。アンドロゲンと受容体の結合を阻害し、前立腺癌に使われます。海外では女性の多毛症、ニキビにも使われたりしますが、日本人には肝障害が高頻度で出るため、毎月の採血が義務付けられています。この肝障害については女性ではほとんど見られないという記述もあります。
ワーファリンの併用は禁忌で用量が増えると、男性では女性化乳房など、女性では生理不順、無月経が見られることがあります。Cimetidineも受容体阻害作用があります。
Bアンドロゲンの合成阻害
一般的ではありませんが、去勢というのもアンドロゲンの合成阻害を行うひとつの方法です。ketoconazole、imidazone peperazineは抗真菌剤ですが、副腎でのアンドロゲン合成抑制作用があることが知られています。また、aminoglutethimideは生殖腺でのアンドロゲン合成抑制作用があることが知られています。
CGn-RH(ゴナドトロピン分泌ホルモン)によるゴナドトロピン分泌抑制による間接的なアンドロゲン合成、分泌抑制
LH-RHアナログなどがあります。Gn-RHは投与開始当初は文字通り、ゴナドトロピンの分泌を促進しますが、継続的に投与することによりゴナドトロピンの分泌を継続的に抑制することが知られており、男女を問わず、性ホルモン依存性の悪性腫瘍の治療目的で使用されることがあります。注射剤や点鼻薬などの形で認可薬があります。
D卵胞ホルモン
卵胞ホルモンは投与することにより、血中のSHBGを増加させ、2次的に遊離Tを減らす作用があります。また、継続的に使用することにより、ゴナドトロピンの分泌を抑制し、間接的に卵巣からのアンドロゲンの産生、分泌を抑制することが知られています。Fosfestrol(内服100-400mg/日)は少量投与時には間脳、下垂体、睾丸系のゴナドトロピン抑制、大量投与時には5αリダクターゼを阻害するので直接前立腺にも作用すると言われています。副作用としては、血栓症などがあります。
単独での長期使用はリスクがあるので、経口避妊薬として、もしくはKaufmann治療としてプロゲスチンの部分併用などが行われる。
E 転換酵素阻害剤
5α-リダクターゼ(type2)の働きを阻害して、TからHDTへの転換を阻害するものとして、finasterideが良く知られています。前立腺肥大をはじめ、頭髪の減少防止などにも使われています。Type1の5α-リダクターゼ(皮脂腺などで作用)はあまり阻害されないため、目的によっては投与量を増やす必要があるようです。血清DHT、3α-diolG、DHT/Tを下げます。大きな副作用は見られていないようです。現在日本でも治験が進行しています。最近では、type1とtype2の5αリダクターゼを阻害する新薬dutasterideも米国で認可されました。
F副腎皮質ホルモン剤
下垂体からのACTH分泌を抑制し、副腎皮質からのアンドロゲン産生を抑制する。
Gプロゲスチン
medroxyprogesterone acetate(MPA)は下垂体からのLH分泌抑制作用が期待できるとともに、肝臓での代謝酵素の誘導によりTの排泄を促進する効果が期待できる。
Hその他
chlormadinone acetate:前立腺癌、前立腺肥大などの治療薬ですが、直接的抗前立腺作用があるとされています。Tの取り込み阻害、作用の阻害、合成の阻害があるとされています。


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