Cosmetic Medicine in Japan -東京大学美容外科- トレチノイン(レチノイン酸)療法、アンチエイジング(若返り)
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開業医の先生方からのトレチノインの調剤や治療法についての問い合わせが非常に多いため、
情報コーナーを設けさせていただきました。

1)トレチノインの使用方法について 

 


おかげさまでトレチノイン療法も広く普及して、現在では日本中の多くの医療機関において行われるようになりました。しかし、使い方に難しい点もあります。下記の参考資料などを参考にされ、レチノイン酸など治療に必要な薬剤の特性、機能、注意点などについて十分な知識をお持ちになって行われ、患者さんの経過を詳細に把握し、適切なご指導をされることをお勧めいたします。

 ★良く間違われる治療のポイント(いかに炎症を狭い範囲で終わらせ、でもきちんと効果を上げ、そして炎症後色素沈着を残さないためのこつです)

  1. トレチノインはできるだけ狭く(ベビー綿棒で)、ヒドロキノンはできるだけ広く(顔全体)塗布させる。薬はとにかく薄く塗布する。肝斑でもできるだけ狭く色素沈着の強いところだけを綿棒で塗布する。
  2. トレチノインは水性ゲル基剤とし、使用中も空気に触れないようにチューブに密封する。
  3. ヒドロキノンで赤くなる場合は何種類かの基剤や成分の異なるヒドロキノン軟膏を用意して、使えるものをパッチテストなどで見つけるように努力する。(意外とみつかります;AHAを含まない親水軟膏基剤は大丈夫なことが多い)(ちなみに我々は、ハイドロキノン乳酸入りプラスチベース、ハイドロキノンアスコルビン酸入り親水軟膏とクリーム、ハイドロキノン入りUVクリームを使用している)ヒドロキノンでアレルギー性皮膚炎が起こる場合、もしくは刺激性皮膚炎があまりにも強い患者では、トレチノインは使わない。
  4. トレチノインで反応が弱いときは一気に0.4%などに上げて、慣れが生じる前に反応させる(開始から2週間以内に)。
  5. VCローションなどで抗炎症ケアをさせる。バリア、保水ケアを工夫する。
  6. トレチノインを色素沈着を目的に使うときは8週間を最長期間とする。トレチノインを中止した場合は最低4週間はハイドロキノンを継続的に使用する。
  7. 初診時の臨床診断を的確に!これは非常に重要です。老人性色素斑といってもいろんな種類のものがあります。角質の厚さ、メラニンの深さを的確に判断して、最適の処置をしましょう。肝斑は2クール、太田母斑や遅発性太田母斑(ADM)では2ヶ月のトレチノイン治療の後にQルビーレーザーを行う。2クール目を行うときはトレチノインをやめてから4週以上開けてから始める。参考文献参照
  8. 摩擦黒皮症、アトピー後色素沈着、ADM、真皮肝斑、真皮メラニンを伴う日光性色素斑など、表皮メラニンと真皮メラニンを伴う場合には、まずトレチノイン治療を行い、炎症をさました直後にQルビーレーザーを照射する。万一、炎症後色素沈着を伴った場合には、トレチノインを軽く2週間使用する。真皮メラニンに対してはレーザーを2-3回することになる。詳しくはADMの項を参照。
  9. 老人性色素斑で角質が厚くなっている場合はQルビーレーザーなどで治療を行い、4週間後から炎症後色素沈着に対してトレチノイン治療を行うと、よりスマートに治療できます。 
  10. 0.4%でも反応が弱いときは4週間以上の休薬期間を取って仕切りなおしをする、もしくは50-70%AHAをベビー綿棒でしみの部分にだけ塗布して(3分くらい)処置をしてあげる(処置後は要流水洗顔)。
  11. 顔全体に使いたい場合は、しみの治療が終わってから、マイルドに使っていく。この場合、2-3ヶ月使用し、1ヶ月以上の休薬を繰り返す。
  12. にきびにトレチノインを使用する場合は、にきびのところに綿棒で使うのではなく、指で全体に薄く広く延ばす。始めはマイルドに、徐々に使用頻度、濃度を増やしていく。
  13. 顔以外の老人性色素斑はQルビーレーザーの方を第一選択とする。その後の炎症後色素沈着にはトレチノイン治療を軽く行う。光線性花弁状色素斑も同様とする。
  14. 脂漏性角化症はスキャナー付炭酸ガスレーザーで丁寧に治療する。
  15. 効果も副作用も、すべて、治療する医師の腕次第です。 

2)レチノイン酸外用剤について

 


 レチノイン酸水性ゲルのレシピについては下記の参考文献を参照してください。原料については、(株)利根化学(03-3862-6666)など試薬会社から入手することになります。これらの外用剤は未認可であるため製品としての販売はできません。各病院にて自家調合することになります。基剤の調整方法や原料入手などに一部難しい点があるため、(株)東京調剤センター(03-3473-0879)がレチノイン酸用の基剤(水性ゲル)の調整を行っています。紅斑や落屑などの副作用を伴いますので、ビタミンCのローション(中性のもの)を併用します。紀陽コスメシューティカルズ(03-5793-1211)などで、取り扱いがあります。

トレチノイン 0.1%水性ゲルの調合例

トレチノイン(all-trans retinoic acid)    0.1g
   カーボポール940             1 g
   エマルゲン408              2 g
   10%NaOH                0.6ml
   パラベン                 適量
   精製水               ad. 100 g


はじめにカーボポールとパラベンと水でゲルを作り、NaOHでpHを上げて固めます。一晩冷蔵庫でおきます。 エマルゲンにトレチノインを加えて混ぜ、そこに上記の水性ゲルを加えて混ぜます。


3)使用方法についての参考資料(資料内容の無断転載を禁じます)

 


    1)本治療についての医家向けの参考資料

    2)患者向けの参考資料
                

【ご注意】 上記参考資料の内容の一部を配布用などとして使用する場合は著作権の問題が生じますので、お問い合わせください。


 

上記の外用剤の調達や使用方法などについて、ご不明の点がありましたら、
yoshimura@cosmetic-medicine.jpまでお問い合わせ下さい。

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